温もり(EXODUS Guilty)

辺りの音が、瞬時に遠ざかる。
近づく影。
そして、淡い温もり。
止まったままの私の時間。
動き出した頃には、
何もかも、全部一緒だった。
ただひとつ。
温もりを残して消えた、あいつを除いて。

小さい頃から知ってる。
幼馴染み。
そして、親同士が決めた許嫁。
嫌いじゃない。
けど、ホントはわからない。
友達を作れなかった私の心の支えだった。
会える日を待ちわびてた。
そして、再会。
思った通りの性格。
予想外れのカッコ良さ。
嬉しくて、すごく嬉しくて。
ずっと話してたくて。
ずっと、側にいて欲しくて。
引き留めた。
ただ、それだけ。

「もう少ししたら、迎えに行ってやるよ」
そう言い残して、温もりをくれたあいつ。

辺りの音が、鮮明になる。
木の葉の擦れる音だけが、鮮明になる。
頬が熱い。
触れられた唇が、熱い。

動き出した時間は、何もかも、全部一緒だった。
ただひとつ。
温もりを残して消えた、あいつを除いて……。

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